院長ブログ
仔犬が階段から落ちて骨折!成長を妨げない骨折治療とは?
2023年5月30日
皆様、ひさびさの院長ブログです。
さて今回は、生後6ヶ月のポメラニアンちゃん(メス)の骨折のお話です。
階段で3段を踏みはずして落下し、前足を骨折してしまいました。
以前、飼い主様のご友人のチワワちゃんが当院で膝の手術をしていて、経過がよかったことから、当院をご紹介いただいたそうです。
階段から落ちたポメラニアンちゃんは、成長期のため骨が日々大きくなります。
そこで、骨増殖に影響が少ないように「ピンディング法」という手術法を採用しました。骨折部を金属ピンを使って串刺しにして、固定させる方法です。
レントゲン写真を参考にしてください。
成長期の場合、骨折部がしっかりくっ付いたらすぐにピンを抜かないといけません。少しでも遅れると、足の長さが左右で違ってしまいます。
今回のポメラニアンちゃんは手術後30日で骨がくっ付いたため、すぐにピンを除去しました。さらに、ピンを抜く際には麻酔をかけるため、同時に不妊手術と乳歯の抜歯7本も行いました。
3ヶ所の手術で2時間かかりましたが、元気に退院することができました。
ワンちゃん・猫ちゃんには、階段や抱っこからの落下、柵のあいだに前足を挟むなど、日常にも骨折の危険がいっぱいです。
どうぞご注意ください。



猫の日
2021年2月22日
2月22日はニャンニャンニャンで猫の日です
知っていましたか?
私は忘れていましたが、思い出したので慌ててブログを更新しました。
私は、雑学が好きで、猫も好きなので
ブログを書くならそういった雑学も書いていきたいとおもってました。
そこで、一番好きな猫についての論文をひとつご紹介します。
とても有名な論文ですが、
「猫は個体かつ液体の両方になれるのか?(Can a Cat Be Both a Solid and a Liquid?)」
という論文があります。
これは2017年の《イグノーベル賞》を受賞した研究です
当時はニュースでもよく取り上げられました
インターネットで「猫 イグノーベル賞」「猫 流動体」等で検索すると、画像や動画がいっぱい出てきます。

こんな画像を集めて、「猫のこの特性は個体です。」「容器に隙間なく広がる様子は液体です。」と、真面目に?書いています。

物理学は勉強したことがないので、何を言っているのかわかりませんが、この写真もかわいいですよね。
興味がある方はぜひ調べてみてください。
↓にTED動画のリンクも貼っておきます。
リンクhttps://www.ted.com/talks/marc_antoine_fardin_les_chats_sont_ils_liquides/transcript?language=ja
私が、この研究がすごいとおもったのは2点
物理学と(一見)関係なさそうな猫の話から、
興味のない人にも物理学の話を聞いてもらうことができる。
興味を持ってもらう方法としてすごいとおもいました。
そして、その原動力となった猫はすごいですね
というところです。
補足
《イグノーベル賞》
イグノーベル賞(Ig Nobel Prize)とは「人々を笑わせ考えさせた業績」に与えられる世界的な賞である。
※ノーベル賞に対するパロディ
※世界的にみても日本は多くの受賞者がいる
「ご飯がない!」をなくすための防災テクニック
2021年2月6日
あ、そういえば、もうフードなかった!
犬や猫を飼ってる方ならきっと経験がありますよね
とくに病気の治療のための《療法食》は
動物病院の在庫は制限があるので
在庫切れ等と重なってしまうこともあります
アレルギーの場合は基本的にその《療法食》以外のものは食べれないので大変です
そんな事態が起きないように
「ローリングストック」という方法でご自宅に在庫を置いてください
「ローリングストック」とは、防災テクニックの一つで、
乾パンなどの防災用食糧をストックするのではなく
レトルトカレーやカップラーメン、缶詰などの日持ちする加工食品を
1週間は保つくらいの量常備ストックしておき、期限が来てしまう前に使用して、次のストックに回転していく手法です。
犬猫のフードの場合は、
いま食べてる開封済みの袋だけでなく、未開封を1〜2袋ストックしていただきたいです
開封してストックが減ってきたら、新しいフードをストックしてください。
災害時にはフードの購入がいつも通りに行かなくなるので
できる時から備えをお願いいたします。
いま現在もコロナで一部のフードの流通に影響が出ています。
フードの変更予定がない子は多めにストックしていてもいいかもしれないですね
補足①
《療法食》とは
処方食、治療食とも言われます。
病気の治療のために、特別な栄養分を入れていたり、栄養バランスが特殊になっていたりするものです。
みんなが食べても大丈夫ではなく、状態によっては病態の悪化もあり得るので獣医師の指示に従って給仕してください。
補足②
動物病院で処方される《療法食》は
最近、流通経路の見直しが進められていて
新しい《療法食》は動物病院以外の場所に卸されないようになってきています。
一部ではメーカーからオンラインでの注文も可能なので動物病院にお問い合わせください。
歯周病のおはなし①
2021年1月28日
前回の院長ブログでは、
「無麻酔の歯石とりはやめてください!」
というお話をしました。
今回は「歯周病」とはなんですか のお話です
① 病気なの?
② どこからが歯周病?
③ 治療した方がいいの?
① 「歯周病」って病気なの?
ヒトでは、生活習慣病としても知られています。
病気です
《歯垢》(プラーク)や《歯石》などが歯周病原因菌の棲家になります。
これらが、とくに歯周ポケットに入り込み、《炎症》(赤み・腫れ・熱感・痛みなど)をおこして
歯肉や顎骨など歯の周りの組織を悪くしていくのが「歯周病」です
② どこからが「歯周病」?
厳密にどこからというのは すこし難しいですが、
ヒトの歯周病セルフチェックを目安にできそうです。
《 ヒトの歯周病チェックリスト 》
・朝起きたとき、口の中がネバネバする
・ブラッシング時に出血する
・口臭が気になる
・歯肉がむずがゆい、痛い
・歯肉が赤く腫れている
・かたいものが噛みにくい(噛むと痛そう)
・歯が長くなったような気がする
・歯と歯の間に隙間がでてきた
いくつか当てはまるなら、ヒトも犬も「歯周病」が怪しいです
獣医師は 診察時には、歯石の量や 歯肉の腫れ 後退具合 赤み 歯の動揺などを見ています。
なんと3歳以上の犬の80%が「歯周病」という報告もあります!
③歯周病って治療した方がいいの?
もちろん治療した方がいいです
「歯周病」が、いろいろな臓器に悪影響を与えることも多く報告されています。
「歯周病」の治療を定期的に行なっている子の方が長生きしましたという研究報告もされました!
(年1回スケーリングしているグループは死亡リスクが18.3%低かった)
ただし「歯周病」の治療のためには麻酔をかけなければいけないので、
その点については獣医師にご相談ください
高齢だから麻酔がかけられないということは基本ありません。
もちろん、高齢になると病気も増えて
その内容によっては、麻酔リスクが高く、処置を断念することもあります。
けれど、検査をする前から「高齢だから麻酔は無理です」ということはありません。
人でも60歳だから手術はできませんってことはないですよね
(諸説ありますが、小型犬の11歳は人の60歳に相当すると言われてます)
もう一つお伝えしたいことは、
歯周病の治療をしようと
術前検査をしてみたら、腎臓が悪いから麻酔が難しい。
あるいは心臓病が重度だから麻酔が難しい
など、
歯はかなりわるいのに麻酔処置が出来ないということも確かにあります。
どの病気でもそうですが、早期治療は負担が少なく有効なことが多いです。
「歯周病」は早期発見がしやすい病気です。
診察時には歯のチェックをしてもらい、
必要なら健康診断をうけて、麻酔リスク評価と、歯周病の評価をおすすめします!
(小型犬の4-6歳は、人の32-40歳なので、これくらいから健康診断を始めることをおすすめします。)
そして歯周病の治療を早いうちからご検討ください

補足
《歯垢》
プラークとも言われ、食べカスと細菌が混ざってこびりついた塊です。
細菌はそのままだと繁殖しづらいので、やられないようにプラークをつくります。
こうなると歯ブラシやデンタルシートなどで物理的にじゃないと落としづらくなります
《歯石》
《歯垢》が唾液と混ざって石になります。
こうなってしまうと自宅でのデンタルケアでは落ちないので、麻酔下超音波スケーリングが必要になります。
人は歯垢が歯石になるまで10〜14日かかりますが、
犬では3〜5日で歯垢が歯石になってしまいます!
(犬では口腔内がアルカリ性のため)
《齲歯》(うし)
いわゆる虫歯のことです。
犬猫では口腔内がアルカリ性だったり、甘いものをあまり食べなかったりするので虫歯はほとんどありません。
が、甘いものや果物をあげていたり、
歯石の下に食べ物が挟まってたりした子で虫歯を見たことはあるので、人の食べ物はあげすぎないよう注意してください
無麻酔の歯石とりは危険!
2021年1月16日
日々、診察をしていて、毎週1-2回はお話ししています。
「無麻酔での歯石除去(歯石とり、超音波スケーリング)は絶対にやめてください」
なぜか?
私がよくお話するのは、
① 無麻酔だと歯周病は良くならない
取りやすい場所しか歯石は取れず、とくに大切な歯周ポケットの歯石歯垢がとれないです。
目立つ部分は一見きれいに見えるのですが口臭はつよく、歯の根っこや歯茎はボロボロになってることが多いです。。。
10本以上の抜歯が必要になる子も、、
② 口を触られるのを嫌がるようになる
口の中にすごい音と水が出る機械を突っ込まれ、押さえつけられ、口が痛くなるので
犬猫目線で考えると拷問にも近いかとおもいます。
このことについては、
「日本小動物歯科研究会」
(歯科を専門レベルで研究・勉強している先生たちが、研究報告や発表を行う学会)からも、
無麻酔歯石除去に対しての考えが発信されています。
獣医師向けでもあるので少し細かいですが、是非お読みください。

↑ 「日本小動物歯科研究会」の無麻酔スケーリングに対する考え

↑ アメリカ獣医歯科学会の考え

どの声明も、
無麻酔歯石処置の危険性を述べています。
麻酔が怖くて、良かれとおもい無麻酔処置をする方が多いですが
無麻酔の方がかなり危ないですし、気付いたら歯周病が悪化していることがとても多いです。。
その場合とても悲しい、悔しい思いをしてしまうので
どうか無麻酔での処置はやめてください
ボリュームが多くなってしまったので、
今日は無麻酔処置の危険性だけ先にお話しました。
また後日に、麻酔について、歯科処置についてもブログで書いていこうとおもいます
(参考 日本小動物歯科研究会HP https://www.sadsj.jp/)
ワクチンは打ったほうがいいですか?
2021年1月9日
診察していてよく聞かれることのひとつです。
(他には、避妊去勢手術、歯磨き歯周病、ノミマダニの予防、フィラリアの予防…etc)
答えは 打った方がいい です!
打った方がいい理由は、いろいろありますが
① 病気の予防効果のメリットが大きい
(副作用よりも。というより重篤な副作用はかなり少ないです。) (さらに…)
ホームページをリニューアルしました!
2020年12月28日
この度、北千束動物病院のホームページをリニューアルいたしました。
ブログも更新していきますので、ぜひ見に来ていただけると幸いです。
これからも、北千束動物病院をどうぞよろしくお願いいたします。
お肉ばっかり食べてると、胆石症になりますよ。
2020年12月21日
日々の診察、手術に追われて、久しぶりのブログとなりました。
今回は、チワワ6歳メスとダックス9歳メスの「胆石症」のワンちゃんをご紹介します。
2匹とも、突然の嘔吐が続き、肝臓の値が正常値の10倍。顔や目やおしっこは黄疸で黄色くなった状態。もちろん元気も食欲もなく、グッタリ。
5月にチワワ、6月にダックスと立て続けに入院し、胆のう摘出手術を施しました。
「胆石症」とは、胆管に石がつまって引き起こされる病気です。
その石とは、胆汁が濃縮して泥のようになり、さらに結石化したもの。胆汁の通り道である胆管にこの石が詰まると、痛みや嘔吐、黄疸など重篤な症状が現れます。これらの症状が強く出る場合は、判断が遅いと生命にかかわるため、スピードが必要です。
軽度であれば薬と食事療法で良くなることもありますが、今回のように重度の場合は、胆のうの摘出手術が必要となり、手術をしたほうが長生きします。胆のうが破裂してから緊急手術になるケースもあります。
※ブログの一番下に、摘出した石や胆のうの写真がございます。
苦手な方はお気をつけください。
写真で見るとおわかりいただけますが、このような石を取り出しました。
ペンと比べてみても、ずいぶん大きいことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
犬の胆石症は人間とは異なり、カチカチの硬い石は少なく、私がこれまで取り出したものの多くは、消しゴムのような弾力性のある硬さでした。
ちなみに、深緑色のドロドロは、胆汁が泥状になったものです。
犬の場合は胆石があっても無症状であることが多く、定期検診などの際に腹部のエコー検査で発見されることがほとんどです。
胆石ができるのは、胆汁分泌の低下やコレステロールなどが原因と考えられています。
いわば生活習慣病のようなものですので、エコー検査で胆石症が発見された場合は、胆汁分泌を促進するお薬と、ごはんも低たんぱく・低コレステロールで消化器官への負担が少ない療養食(ロイヤルカナンの「消化器サポートドライ」など)をあげるようにしてくださいね。
手術後には、2匹とも元気を取り戻してくれました。今では月に一度のトリミングの時間を楽しんでおり、私たちスタッフもほっと一安心です。
1キロもの皮膚腫瘍を摘出!
2020年2月3日
この冬はあまり寒くなく、ずいぶんと暖かいですね。
暖冬の影響で花粉症のシーズンも早まり、2月上旬から対策が必要になりそうです。
ワンちゃんの散歩は、花粉が多く飛散している10時~14時はなるべく避けて、
帰ってきたら、玄関前で花粉をなるべく落としてから家に入るようにしましょう。
手術続きで毎日忙しく、ブログを書くのがすっかり久しぶりになってしまいましたが、
昨年一年の手術件数は、銀座ペットクリニックで109件、 芝浦ペットクリニックで190件、北千束病院で210件、グループ全体では509件でした。
さて今回は、大きな皮膚腫瘍の手術についてご紹介いたします。
※ブログの一番下にワンちゃんの手術写真がございます。
苦手なかたはお気を付けください。
ビーグル犬のミックスで、メスの15歳です。人間でいえば、80代のおばあちゃんですね。 半年前より、首の下、左前足のつけ根のあたりにできた皮膚腫瘍がだんだんと大きくなり、メロンほどの大きさになってきたので、手術で摘出することになりました。
ただ、腫瘍があまりに大きすぎて、摘出すると体に大きな穴が開いてしまいます。
そのため皮膚をジグソーパズルのように上手に移植しなければとてもふさがらず、
近年まれにみる、4時間もの大手術となりました。
メロン大の腫瘍を取り切ったのですが、量るとなんと重さが1キロもありました!
これではさぞ、本人も動きづらかったことでしょうね…。
腫瘍の組織を病理検査に出した結果は「良性」で、こちらもホッとひと安心。
予後もよく、現在では体がすっかり軽くなったのか、元気に駆けまわっています。
その様子を見て、飼い主さまにもとても喜んでいただくことができました!!
大切な家族であるワンちゃんネコちゃんの手術は、どなたもさぞかしご不安だと思います。
私たちはこれからも、飼い主さまとしっかりコミュニケーションをとってお気持ちに寄り添いながら、
豊富な実績による技術力を駆使して、難しい症例にも全力で対応してまいります。
気になる症状がありましたら、いつでも気軽にご相談くださいね。

ベンチからのジャンプに注意!
2019年3月29日
皆さま、こんにちは。早いもので、すっかり花粉の季節ですね。
お散歩が楽しい季節になってきましたが、じつはワンちゃんにも花粉症があります。
人間同様にくしゃみや鼻水などの症状が出るワンちゃんもいますが、かゆみや発疹、外耳炎など、皮膚に症状が出るケースが多いです。
そのため学会では、気温が上がって花粉が飛散しやすくなる「午前10時以降の散歩は控えてください」といっています。
散歩の時にはTシャツを着せてあげ、おうちに入る時はTシャツを脱がせて、花粉をよく払うように心がけましょう。
話は変わりますが、先日、7か月のトイプードルのワンちゃんが骨折で受診されました。
ドッグランのベンチからジャンプしたら、着地時に周囲の人々がわかるぐらい、「バッキー!」と音がして、後ろ足が骨折したのだそうです。
かかりつけの動物病院は骨折手術ができないため、飼い主さまが7軒もの動物病院に問い合わせをされて、ようやく当院で手術が決まりました。
当院での手術は、折れた足にピンを打ち込む「ピン二ング法」での手術となりました。
これは金属の細く長い棒のようなピンを骨の中心にある骨髄の中に通して打ち込み、折れた部分を固定する方法です。
ただし繊細な手技が必要なため、当院のように骨折手術の経験が多くないと難易度の高い手術といえます。
このトイプードルの手術にも3時間を要しましたが、成功しました。
手術後は4日目で無事退院し、今はギブスで固定して元気に歩いており、飼い主さまも胸をなで下ろしておられます。
トイプードルやポメラニアン、チワワなどは大変人気の犬種ですが、骨が非常に細く厚みもないため、どうしても骨折しやすいといえます。
そのうえ動きが機敏なので、ベンチやソファに身軽に飛び乗ったり、飛び降りたりする際に、足を滑らせて着地に失敗することが多いので、注意が必要です。
骨折した理由の大半が、「膝に乗せていたが落としてしまった」「ベンチやソファから飛び降りた」といった、落下が原因です。
飼い主の皆さま、ワンちゃんがベンチからジャンプする際にはくれぐれもお気をつけください。












