院長ブログ
歯周病のおはなし①
2021年1月28日
前回の院長ブログでは、
「無麻酔の歯石とりはやめてください!」
というお話をしました。
今回は「歯周病」とはなんですか のお話です
① 病気なの?
② どこからが歯周病?
③ 治療した方がいいの?
① 「歯周病」って病気なの?
ヒトでは、生活習慣病としても知られています。
病気です
《歯垢》(プラーク)や《歯石》などが歯周病原因菌の棲家になります。
これらが、とくに歯周ポケットに入り込み、《炎症》(赤み・腫れ・熱感・痛みなど)をおこして
歯肉や顎骨など歯の周りの組織を悪くしていくのが「歯周病」です
② どこからが「歯周病」?
厳密にどこからというのは すこし難しいですが、
ヒトの歯周病セルフチェックを目安にできそうです。
《 ヒトの歯周病チェックリスト 》
・朝起きたとき、口の中がネバネバする
・ブラッシング時に出血する
・口臭が気になる
・歯肉がむずがゆい、痛い
・歯肉が赤く腫れている
・かたいものが噛みにくい(噛むと痛そう)
・歯が長くなったような気がする
・歯と歯の間に隙間がでてきた
いくつか当てはまるなら、ヒトも犬も「歯周病」が怪しいです
獣医師は 診察時には、歯石の量や 歯肉の腫れ 後退具合 赤み 歯の動揺などを見ています。
なんと3歳以上の犬の80%が「歯周病」という報告もあります!
③歯周病って治療した方がいいの?
もちろん治療した方がいいです
「歯周病」が、いろいろな臓器に悪影響を与えることも多く報告されています。
「歯周病」の治療を定期的に行なっている子の方が長生きしましたという研究報告もされました!
(年1回スケーリングしているグループは死亡リスクが18.3%低かった)
ただし「歯周病」の治療のためには麻酔をかけなければいけないので、
その点については獣医師にご相談ください
高齢だから麻酔がかけられないということは基本ありません。
もちろん、高齢になると病気も増えて
その内容によっては、麻酔リスクが高く、処置を断念することもあります。
けれど、検査をする前から「高齢だから麻酔は無理です」ということはありません。
人でも60歳だから手術はできませんってことはないですよね
(諸説ありますが、小型犬の11歳は人の60歳に相当すると言われてます)
もう一つお伝えしたいことは、
歯周病の治療をしようと
術前検査をしてみたら、腎臓が悪いから麻酔が難しい。
あるいは心臓病が重度だから麻酔が難しい
など、
歯はかなりわるいのに麻酔処置が出来ないということも確かにあります。
どの病気でもそうですが、早期治療は負担が少なく有効なことが多いです。
「歯周病」は早期発見がしやすい病気です。
診察時には歯のチェックをしてもらい、
必要なら健康診断をうけて、麻酔リスク評価と、歯周病の評価をおすすめします!
(小型犬の4-6歳は、人の32-40歳なので、これくらいから健康診断を始めることをおすすめします。)
そして歯周病の治療を早いうちからご検討ください
補足
《歯垢》
プラークとも言われ、食べカスと細菌が混ざってこびりついた塊です。
細菌はそのままだと繁殖しづらいので、やられないようにプラークをつくります。
こうなると歯ブラシやデンタルシートなどで物理的にじゃないと落としづらくなります
《歯石》
《歯垢》が唾液と混ざって石になります。
こうなってしまうと自宅でのデンタルケアでは落ちないので、麻酔下超音波スケーリングが必要になります。
人は歯垢が歯石になるまで10〜14日かかりますが、
犬では3〜5日で歯垢が歯石になってしまいます!
(犬では口腔内がアルカリ性のため)
《齲歯》(うし)
いわゆる虫歯のことです。
犬猫では口腔内がアルカリ性だったり、甘いものをあまり食べなかったりするので虫歯はほとんどありません。
が、甘いものや果物をあげていたり、
歯石の下に食べ物が挟まってたりした子で虫歯を見たことはあるので、人の食べ物はあげすぎないよう注意してください